技術用語集 表面処理 アルマイト処理
アルマイト処理は、アルミニウムの表面に陽極酸化によって人工的に酸化皮膜(Al2O3)を生成させる処理です。柔らかく傷つきやすいアルミニウムを、セラミックスに匹敵する高硬度で耐摩耗性の高い素材へと変えることができます。
主要な特性と適用
アルマイト処理には、一般的な白アルマイトと、さらに硬度を高めた硬質アルマイトがあります。硬質アルマイトは、通常のアルマイトよりも硬く厚い皮膜を生成するため、自動車や航空機の部品など、特に耐摩耗性や強度が求められる用途に活用されます 。
また、アルミニウムは導電性のある素材ですが、アルマイト皮膜は優れた絶縁性を持ち、電子部品の絶縁処理にも利用されます 。アルマイト皮膜は多孔質であるため、この微細な穴に染料を浸透させることで、豊富なカラーバリエーションを実現することが可能です 。ただし、カラーアルマイトは紫外線や高温によって退色しやすいという課題があります。
長所と短所
アルマイト処理の大きな長所は、軽量なアルミニウムに高硬度、耐食性、絶縁性を付与できる点です。一方で、皮膜は柔軟性がなく、曲げ加工や衝撃によって割れや剥がれが生じる可能性があります。また、アルミニウムは熱伝導性が高い素材ですが、アルマイト皮膜は熱伝導率が低く、100℃以上の環境ではクラックが生じる可能性があるため注意が必要です。