技術用語集 熱処理 焼き入れ
焼き入れは、鋼材を高温に加熱した後、急冷することで硬度と強度を向上させる熱処理です。目的や材質によって処理温度や冷却方法が異なります。
焼き入れ処理の主な目的
- 硬度・強度の向上:マルテンサイト組織の形成による
- 耐摩耗性の改善:工具や摺動部品の寿命延長
- 寸法安定性の確保:焼戻しと併用することで変形抑制
SKD11(工具鋼)とS45C(構造用鋼)
■SKD11
- 加熱温度:約1000〜1050℃
- 冷却方法:油冷またはガス冷
- 焼き入れ後の変化:高硬度(HRC60以上)、耐摩耗性向上、焼戻しで靭性調整
■S45C
- 加熱温度:約820〜870℃
- 冷却方法:水冷または油冷
- 焼き入れ後の変化:中硬度(HRC40〜50)、強度向上、焼戻しで靭性確保
SKD11は冷間工具鋼で、焼入れ後に高硬度・高耐摩耗性を得られる反面、靭性が低下するため、焼戻しによる調整が不可欠です。
また、S45Cは汎用構造用鋼で、焼入れにより引張強度や疲労強度が向上しますが、焼戻しを行わないと割れやすくなるため注意が必要です。