技術用語集 熱処理 焼きなまし・焼鈍

焼きなましは、金属の加工性や寸法安定性を向上させるための基本的な熱処理で、特に鋼材や非鉄金属の製造・加工工程で広く用いられています。

「焼なまし」と「焼鈍(しょうどん)」は同じ意味で、両方とも英語では annealing(アニーリング) と呼ばれる処理です。

焼きなましの主な目的

  • 硬さの低下:塑性加工をしやすくするために軟化させる
  • 組織の均一化:鋳造や溶接後の不均一な金属組織を整える
  • 残留応力の除去:冷間加工などで生じた内部応力を緩和
  • 電気・磁気特性の改善:特定用途での性能向上(例:電磁鋼板)

焼きなましの主な種類

■完全焼なまし

  • 特徴:変態点以上に加熱し徐冷。軟化と組織均一化を目的とする
  • 用途例:鋳造品や鍛造品の前処理

■球状化焼なまし

  • 特徴:セメンタイトを球状化し加工性を向上
  • 用途例:炭素鋼の冷間加工前

■応力除去焼なまし

  • 特徴:低温で加熱し残留応力を緩和
  • 用途例:溶接後や冷間加工後の部品

この処理は、後工程での割れや歪みの防止にもつながるため、製品の品質と信頼性を高めるうえで欠かせません。

関連記事